【2026年】門前薬局等立地依存減算が新設。適用される2つのパターンと対策は?

2026年の調剤報酬で門前薬局等立地依存減算が新設されています。名前の通り門前の要素が強い薬局は15点が減算になる、というものですが基準はそこまで厳しいわけではありません。また、既存の薬局は取り急ぎは対象外となるため、新規の店舗で気を付ける減算項目といえます。


目次

門前薬局等立地依存減算

門前薬局等立地依存減算は、2026年の調剤報酬改定で新設された調剤基本料の減算です。厚労省の告示では、以下のように記載されています。

別に厚生労働大臣が定める保険薬局において調剤をした場合には、門前薬局等立地依存減算として、所定点数から15点を減算する。

調剤点数表 令和8年 厚生労働省告示第69号

つまり、一定の施設基準に該当する保険薬局では、調剤基本料から15点が減算されます。留意事項通知でも、門前薬局等のうち「薬局の業務の成立が、その立地特性に大きく影響を受けているもの」として施設基準に該当する保険薬局について、調剤基本料を15点減算すると説明されています。

門前薬局等立地依存減算の目的

厚労省の通知では、門前薬局等立地依存減算の目的について、以下のように説明されています。

本減算は、薬局、薬剤師、医薬品等の医療資源の分散を防止して地域における効果的な医薬品供給体制の整備を推進すること、また、国民が受ける医療の質の向上の観点からポリファーマシーをはじめとする医薬品に関する諸問題に対して効果的に対処できる体制の整備を促進することを目的としている。

診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 調剤点数表 令和8年3月5日 保医発0305第6号

要するに、特定の医療機関の処方箋に大きく依存する薬局よりも、地域全体を面で支える薬局体制を評価する方向性と考えられます。通知上も、特定医療機関の周辺に立地し、特定医療機関の処方箋に依拠する薬局について「いわゆる門前薬局」と説明されています。


門前薬局等立地依存減算の施設基準

施設基準通知では、門前薬局等立地依存減算に該当する保険薬局について、主に2つのパターンが示されています。

参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和8年3月5日 保医発0305第8号

1つ目のパターン

以下のすべてに該当する保険薬局です。

要件内容
所在地都市部に所在し、かつ水平距離500メートル以内に他の保険薬局があること
処方箋集中率処方箋集中率が85%を超えること
立地条件200床以上の病院の敷地境界線から水平距離100メートル以内に所在し、周辺に他の保険薬局が2以上ある場合など

施設基準通知では、具体的に「都市部に所在し、かつ水平距離 500 メートル以内に他の保険薬局があること」「処方箋集中率が 85%を超えること」などが要件として示されています。

2つ目のパターン

以下の両方に該当する保険薬局です。

要件内容
処方箋集中率処方箋集中率が85%を超えること
立地条件保険医療機関が所在する建物又は敷地と同一の建物内又は敷地内に所在すること

こちらはいわゆる敷地内薬局・同一建物内薬局に近いイメージです。施設基準通知では、「保険医療機関が所在する建物又は敷地と同一の建物内又は敷地内に所在すること」とされています。


施設基準に関する留意点

既存薬局は当面の間、対象外

重要な点として、令和8年5月31日時点で保険指定を受けている薬局については、当面の間、門前薬局等立地依存減算に該当しないとされている点です。

令和8年5月31日において現に保険指定を受けている保険薬局については、当面の間、門前薬局等立地依存減算に該当しないものとする。

特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和8年3月5日 保医発0305第8号

そのため、2026年改定で新設された減算ではありますが、すべての既存門前薬局に直ちに15点減算がかかるわけではありません。新規指定薬局や今後の開設・移転等のケースで特に注意が必要な項目と考えられます。

開設者変更や改築等の場合の取扱い

施設基準通知では、開設者変更や薬局の改築等により薬局の開設許可を取り直す場合でも、保険薬局の指定について遡及指定が認められる場合は、当面の間、門前薬局等立地依存減算に該当しないとされています。

つまり、単なる法人形態の変更や親族間承継、改築等で形式的に許可を取り直すケースでは、直ちに新規薬局と同じ扱いになるわけではないと考えられます。

同一建物・同一敷地の考え方

「保険医療機関が所在する建物又は敷地と同一の建物内又は敷地内」の判断については、施設基準通知で具体例が示されています。

たとえば、以下のような場合です。

類型内容
同一地番・一団の土地不動産登記法上、同一の地番又は一団の土地として扱われる土地上に医療機関と薬局がある場合
外観・構造上一体敷地や建物が外観上分離されておらず、構造上も一体的に接続している場合
共用部分あり共用の通路、エントランス、駐車場、案内表示などがあり、医療モール等として一体的に利用されている場合
開発型医療モール等医療機関、薬局等を複数集合させる目的で、不動産開発業者等が開発・募集等を行った敷地又は建物の場合

通知では、共用の通路や駐車場、案内表示などがある場合や、不動産開発業者等が医療機関・薬局等を複数集合させる目的で開発した敷地・建物も対象になり得る形で示されています。


特別調剤基本料Aを算定する薬局には適用されない

施設基準通知では、以下の記載があります。

特別調剤基本料Aを算定する保険薬局には適用しないこと。

特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて 令和8年3月5日 保医発0305第8号

特別調剤基本料Aはもともと低い点数設定であり、門前薬局等立地依存減算は重ねて適用しない整理と考えられます。


届出に関する事項

門前薬局等立地依存減算の施設基準に係る届出は、別添2の様式84(調剤基本料)を用いるとされています。

施設基準通知の届出一覧にも、「95の3 門前薬局等立地依存減算」として掲載されており、様式は「84」とされています。


実務上のポイントと対策

門前薬局等立地依存減算は、単に「門前薬局だから減算」というものではありません。ポイントは、処方箋集中率85%超に加えて、都市部・周辺薬局数・病院からの距離・同一建物又は同一敷地内といった立地条件を満たすかどうかです。

また、令和8年5月31日時点で既に保険指定を受けている薬局は当面の間対象外とされているため、2026年改定直後の影響は、新規開設薬局や今後の出店計画において特に大きいと考えられます。

したがって、既存薬局の毎月の算定というより、新規出店・医療モール出店・病院敷地内出店・門前集中型薬局の開設判断に影響する減算と整理すると分かりやすいです。

減算を受けない対策は、さほど難しくないかと思います。大きい病院から離れていること。同一の建物や敷地内は避けること、など新規の出店の際に気を付ければ良い事項も多いです。また集中率85%は他の算定項目でも意識するべきところであり、よほどの地方や僻地でない限りは基本的にこの割合より低くなることを自然と意識することになるでしょう。集中率を下げる施策を実施していくことが将来的にも重要になりそうです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次